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台風23号が日本列島を駆け抜けた。今日は久しぶりに川沿いを歩こうと、先週決めていた。超大型のそれでキャンセルかなと思っていたが、途中からスピードを上げたせいで予定通り、遊歩道へ足を向けることになった。実は前夜、川を見に行ったが、神田川は久々に恐ろしい表情を見せ、暗い夜の激しい雨風の音に負けることなくごうごうと叫び、まさに荒れ狂っていた。 少しは、前夜の表情を残しているかな、とまだ雨がポツポツ降る中を高田馬場渓谷に向った。どんな表情をしているか、多少ワクワクしながら神高橋から川をのぞき込むと、あれあれっ。確かに通常より水位は高いが、ごくごく普通に流れている。環七地下調整池の完成に代表される治水対策の工事の成果というところだろう。荒れ狂っている川の写真を撮るというもくろみは、見事にすかされた。でも、いつもより明らかに水位の高い川の姿を眺めるのもいい。井の頭公園まで行くことにした。 考えてみれば大雨の直後に、まとまった距離を歩いたことがなかっただけに、色々と発見があった。おもしろい所では、水位の高さをあまり感じない箇所があったこと。近年行われてきた調整池や人工的な段差や堰のためだろうが、川のメカニズムの不思議さを感じながら歩いていた。 環七調整池の呑口付近は、前夜の水位の痕跡が残っていた。しかし、すぐ近くの河原では、のんびりと昼寝を楽しむカルガモたち。彼ら彼女らは、一体どこに避難していたのだろう。永福町付近では、異常に鯉が多いのに気が付く。実は、永福町付近を歩いていた時は、いつもよりたくさんいるね、程度にしか感じていなかった。で、久我山のあたりで、お母さんと一緒に川をのぞき込んでいた子供の声にはっとした。「お母さん、お魚いなくちゃったよ。」なるほど、流されたわけだ。それが、永福町あたりに溜まっていたのだろう。調整池に落ちたり、分水路に流された鯉はいたのだろうか。 明らかに違っていたのは、井の頭公園内。水位が上がり、人工的に置かれた石が水の下になり、とっても川らしい表情なのだ。やっぱり普段の姿は、人の手で演出された源流だったを実感。特に、夕焼け橋のすぐ下の堰の流れは、まさに自然の堰のごとき表情。コサギがやってきた。理想的な位置に降り立った。頼む、しばらくの間動かないでくれ。1/8秒なんだよぉ。 ■
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by miura_rt
| 2004-10-22 00:34
| 今日の話
ガイドページのタイトルバックに使った写真に関しては、多くの方から「本当に神田川か」という内容のご意見をいただいた。本当に神田川なのだ。「場所を教えて欲しい」というメールをいただいたこともある。サイトを運営する身として非常に嬉しいことだ。しかし、随分迷ったあげく、お教えしないことにした。最大の理由は、撮影した時と同じ条件でない限り、あの場所に行ってもあの写真のような流れを見ることはできないからだ。 これが神田川なのか?、と誰もが思うようなカットをものにしたい。典型的な都市河川の表情を写真に収める一方で、いつも考えていたこと。そうして候補地を数カ所絞って、水量や太陽の位置を見極めて撮った中から、あの写真を選んでいる。写真を撮る人間として、こういう書き方は極めて不本意であるが、ある意味偶然撮れたカットと言ってもいい。撮影した日の水量、時間、天気、すべてがうまくバランス取れた結果といってもいいのだ。 コンクリートに覆われた都市河川ゆえ、水量の変化で神田川は流れの表情をガラリと変える。同じ季節だったとしても、年によってまったく違う顔を見せるし、たった一度の雨でまったく景観が変わってしまう。それが都市河川の姿なのだ。コンクリートで覆われた川は、水量の変化に本当に敏感だ。逃げ場のない所を水が流れているのだから、当たり前といえば当たり前。人工的に作られた箇所はあるとはいえ、基本的に河原を持たないというのが、ほんのちょっとの水量の変化でまったく表情を変えてしまう理由である。 千曲川水系の源流で、私の好きな場所がある。もう何年も何年も通っている所。時には2〜3年行かないこともあるが、いつ行ってもその表情は変わらない。人の手の入っていない川とはそういうもの。多少の水量の変化はあっても、まったく顔を変えることない流れで私を迎えてくれる。河原とは、川の機能のひとつであり、河原があるから川はその豊かな表情をみせてくれる。 あの写真を撮った時、ひょっとしたら神田川がこんな表情を見せてくれるのは、これが最後かも知れない。と、まじめに思いこんだりもした。都市河川とは到底思えないあのカットも、ひょっとしたら、都市河川の姿そのものかも知れない。 ■
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by miura_rt
| 2004-10-15 02:35
| 撮影エピソード
羽振りのいい友人が、クルーザーを買ったそうだ。「日にちが合えば、いつでもいいよ。遊びに行こうや」とお誘いの言葉。「海からウォーターフロントを眺めるのもいいし、隅田川を遡るのもおもしろいよ。」という言葉にピクッ。「じゃあさぁ、隅田川から神田川に入ってさぁ、水道橋の先から日本橋川を下って佃島に行こうよ」と、思わず。もちろん、彼はキョトン。すぐに、「オマエ何を言い出す」という顔になった。結局、彼の船にはまだ乗っていない。 とある忘年会。何と屋形船。事前にルートを確認。基点は浅草で、隅田川を下りお台場沖を一周して、再び浅草へというコース。「夜かぁ、条件きつそうだな」と思いつつ、カメラ持参で出掛ける。「何でカメラ持ってきてるんですか」と私に疑問を投げかける、皆の衆。浅草を出発して、あれっもう永代橋。神田川見落とした。屋形船といえども、川の上は速い。浅草でたらあっという間に神田川を通り越していた。それじゃ帰りだ。カラオケに熱中して、思いっきり忘れた。 そんなことがあったおかげで、神田川と隅田川の合流点を隅田川の上から写す。これがどうも、可及的すみやかに処理しなければならない問題のように思えてきた。では、水上バスに乗ろう。と、よく調べずに乗った船は、とっても満員。オープンデッキに場所を取れず、クローズドキャビンへ。「しまったぁ」である。一応、ガラス越しに撮ってはみたものの、使えるような代物ではなかった。外窓掃除しておけよ、である。 で、次はバッチリ調べて、空いていそうな日を選ぶ。ところが、天候がよろしくなかった。雨が降っている。別に雨でもいいや。波が高い。かなり、揺れる。揺れだけなら、何とかなる。ところが神田川が見える頃に、薄くもやがかかってきた。柳橋がはっきり見えない。残念。撮るには撮ったが、これも使える代物ではなかった。 今年の7月、今度こそと思い再び水上バスへ。ところが、松本零士さんプロデュースの新型船・ヒミコに関心がいっちゃって、とりあえずこいつに乗ろう、いや乗らなければならない、と乗り物好きの血が騒ぎ出す。お台場から乗船したが、あまりの混雑と騒々しさに嫌気がさして、隅田川を見ずに日の出桟橋で下船。夏休みに乗るもんじゃない。神田川を見ずに帰宅。 残念ながら、いまだに私は船からの写真を撮っていない。水上バスに3回も乗ってダメだったおかげで、すっかり冷めちゃったというのが正直なところ。やろうと思えば、時間さえ作ればいつでもできるのだが…で、掲載したのは水上バスそのものの写真。やっぱり、あいつをだます、いやお願いするしかないか。 ■
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by miura_rt
| 2004-10-05 19:34
| こんなことやってみたい
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